芋の蔓に引っ張られる

さつま芋

友人ネギとわたし

類友ネギとの話

友人ネギとは元々は単なる同僚だった。
友人づきあいするきっかけはなんだっただろう。そうそう、ネギにはあまり大きな声ではいえない趣味があったのだ。それをわたしに暴露したのがきっかけではなかったろうか。

え、大きな声ではいえない趣味があったのに親しくなったのかって?
心配ご無用。なぜならわたしにも同じ趣味があったからだ。
まあぶっちゃければ類友というやつだ。

そういうわけで、共通の趣味(大きな声ではいえない)を持つわたしとネギは一気に親しくなった。
話してみれば面白い奴で、単なる同僚だったときには気づかなかった面がいろいろ見えてきた。
おそらくこの先もずっとつきあい続けるだろう。

旦那さんにバレるとまずい趣味

さて、ネギには旦那さんがいる。わたしも良く知る人だ。なぜならネギの旦那さんも同僚だったからだ。なんなら同僚になったのは旦那さんのほうが早いくらいだ。
ネギとネギの旦那さんがつきあうようになったきっかけにはわたしも一枚噛んでいる。
キューピッドと呼んでくれても構わないよ。まあこのあたりの話は機会があれば別に書くとして。

ネギは自分の趣味を旦那さんには隠している。
同じ家に住んでいるのに隠すのは大変だろうと思うし、実際なかなかに苦労があるそうだ。
(本の隠し場所とか隠し場所とか)

パソコンを見ていたら後ろに旦那が立っててびっくりした、という話をしたりもする。
「いっそのことバラしたら。いつまでも隠すのは大変じゃない?」
とお気楽な第三者であるわたしはいうのだが、本人は踏ん切りがつかないらしい。

そんなある日のことだ。
ネギと一緒に映画を見にいったときだったと思う。
「昨日旦那にばれそうになった。危なかった」
とネギが打ち明けた。

ネギが自分のバッグの中に、おおっぴらには見せられないような本を入れていたらしい。
なんでそんな本を入れておいたんだ、とわたしは聞いた。どうやら前日病院に行っていたらしく、待ち時間に読むために持っていってそのままになっていたらしい。
病院で読んだんかい、と、それはそれで別の突っこみになった。

カギだかなんだかを探していた旦那さんがネギのバッグの中に手を入れ、本を取り出したという。
目の端で、旦那さんが自分のバッグから本を取り出すのを見て、ネギは固まったらしい。

旦那さんがぱらぱらと本をめくるのを、気づかなかった振りをしてやり過ごそうとしたそうだ。
(本が小説だったからごまかせると思ったのだろうか。でも挿絵があるよね。というか、ネギは隠しているっていうけど、ネギの趣味はすでに旦那さんに薄々はバレてないか?)
旦那さんはぱらぱらと本をめくった後で言ったそうだ。

芋蔓式にバレる?

「こういう本、沖端さんも読んでるの?」
ごふっ、と空気がおかしなところへ入っていった。
完全に他人事だと思って笑いながら聞いていたのに。

「ちょっと待て、なぜそこでピンポイントでわたしの名前が出るんだ」
焦るわたしにネギが答えるには、
「えー、だって沖端とは仲がいいし」
「仲がいい同僚なんて、他にも何人もいるだろうに」
「よく本の貸し借りもしてるし」

それか!
たしかにネギとはしょっちゅう本の貸し借りをしている。あんな本やこんな本もだ。

ということはだ、ネギが大きな声ではいえない趣味を持っていることが旦那さんにバレたら、芋蔓式にわたしも一緒にバレるということか。
ぬかった。やばい、それはやぼうございます。

それまでは、さっさと旦那さんにバラしたほうがいいんじゃない、と笑っていたわたしだった。が、
「本の隠し場所はよく考えるように」「パソコンを使っているときは背後に気をつけろ」
「本を読むときはカバー必須」
などと細かな突っこみをするようになった。
芋蔓恐い。

え、そんなことを、こうやって文章に書いていいのかって?
はっはっは、いやいや、ヘタれとはいえ、こうやって文章を書いているわけですからねえ。
文章書きなんて、恥をかいてナンボの世界でございますよ、ええ。

沖端がこうやって文章にしたらネギのことまでバレるんじゃないか、ですか。
芋の蔓って丈夫ですねえ、いやまったく。

芋の蔓の引っ張りあい?

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