あなたがお客に出したものは

お茶(ボトル)

実家の話

実家には上の姉夫婦が親と住んでいる。
これは実家に顔を出したときに、上の姉が苦笑しながら教えてくれた話。

わたしと違って、上の姉は料理が上手だ。ちなみに義兄もとても上手い。
上の姉は出汁を作るときは鍋いっぱいに作って、冷蔵庫の中に入れてストックしている。
こうしていると、必要なときにすぐ使えるので便利らしい。

ウーロン茶なども作って冷蔵庫に入れているので、お茶と出汁は容器を決めて使い分けているよう。お茶のピッチャーはこれ、出汁のピッチャーはこれ、という具合だ。
まあウーロン茶と出汁では色がかなり違うので、見ればわかるといえばわかる。

父の場合

それ出しちゃったんですか

これを、父が間違えたらしい。
たまたま家族が皆不在にしていて、家の中に父しかいない時間があったらしい。
そこに父の知り合いが訪ねてきた。

暑い季節のことで、父は来客に冷たいお茶を出そうとしたらしい。
(誰かが家にいるときは父はけしてそんなことはしない。縦のものを横にもしない九州男児だ)
さて、父は冷蔵庫に入っているピッチャーからグラスにウーロン茶を入れた。というか、父としてはウーロン茶を入れたつもりだった。

もうおわかりだろうが、父が来客と自分用にと入れたウーロン茶はウーロン茶ではなく出汁だった。
色でわからないものだろうか、とちょっと思った。
細かいことにこだわらない九州男児なのかもしれない。

来客はさぞや困惑したことだろう。
どうぞ、と差し出されたものを飲んだら出汁だったのだから。
これはお茶じゃないんじゃないか、と口に出すことはできなかったのだろう、申し訳ないことだ。

沖端家では来客に出汁を出してくるという噂になっていないといいけれど。
姉が家に戻ったときは、すでに来客は帰った後だったらしい。
来客用のグラスの中は半分以上残っていたとか。(そりゃそうだ。というか、よくそこまで飲んだよ)

ちなみにというか、父は自分の分の出汁は全部飲んでいたらしい。
よもやただの味音痴か。

母の場合

あなたもやっちゃったんですか

その話を聞いて、遠い記憶を思い出した。
あれはまだ上の姉が結婚する前で実家にいた頃の話だ。

下戸でほとんど酒を飲めない上の姉だが、一時期フィズ系のお酒を少し飲んでいた時期があった。
たしかバイオレットフィズを好んで飲んでいたと思う。好んでいたといっても、サイダーでかなり薄く割って飲んでいた。

わたしもご相伴にあずかった。あれは美味しかった。書いていたら飲みたくなってきた、
今度買おうかな。
おっと話がずれた。暑い季節のサイダーで割った甘いフィズは大変美味しかった。それは間違いない。

今度は母だが。
母もほとんど酒を飲まないので、わたしたちと一緒にフィズを飲むことはなかった。
ある日、家に来客が訪ねてきた。

母は来客に飲み物を出した。そのときに、娘たちが美味しく飲んでいるフィズがあることを思い出したらしい。
母は来客にも飲んでほしいと思ったようだ。妙なところでサービス精神があるところもわたしと似ている。
娘たちがいつもサイダーに入れて飲んでいるものがあるからと、来客の飲み物に入れて出したらしい。

わたしは知っている。
母がかなりのうっかりであることを。そしてその血をわたしが色濃く引いていることを。

わたしはおそるおそる母に聞いた。
「なんの飲み物にフィズを入れて出したの?」
母は答えた。
「コーヒー」

嗚呼、似た者夫婦よ。

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