
不幸な出来事の中にあって、いくぶん慰めとなるようなこと ── 新明解故事ことわざ辞典
女子高生だった頃の話
あれはわたしが高校生の時のことだ。
いつものように、学校から自転車で40分かけて自宅へ戻った。(高校が遠かったのだ)
家に入ると、台所で母と下の姉が料理をしていた。
デパート勤めをしている下の姉が平日に家にいることは不思議ではないとしても、母と並んで台所にいるとは珍しい。
雪でも降るんじゃないかと思いながら、わたしは自室へ行くべく階段を上った。
わたしたち姉妹が使っていた部屋は自宅の2階にあった。
作りが少しばかり変わっているというか、わたしと下の姉が使っていた部屋は続き部屋で、手前の下の姉の部屋を通らないと、奥の自分の部屋に入ることができない。
(この部屋割りの謎についてはまた別の機会に書きたいと思う)
階段を上りながら
わたしは階段を上りながら、自分でもどうかと思わないでもないが、どんどん制服を脱いでいった。
ブレザーのボタンをはずし、ブラウスのボタンをはずしていく。
今のうちに脱ぎ始めていたら部屋に着いてからが楽だ。当時のわたしはそう思っていて、階段を上りながら制服を脱いでいくのが半ば習慣になっていた。
階段を上り終えたときには、ブレザーもブラウスもボタンは全部はずしていたと思う。
もしかしたらスカートのホックにも手をかけていたかもしれない。
台所に下の姉はいたことだし、と声もかけずに下の姉の部屋の扉を開けた。
(普段は一応声をかけていた。いきなり入ると下の姉が怒るので)
扉を開けて、わたしは固まった。
扉を開けた正面に下の姉が使っているベッドがあるのだが。
ベッドの上に下の姉の友人が座っていたのだ。
わたしと下の姉の友人はお互い固まったまま見つめ合った。
衝撃のその後は
そうか、友人が来ていたから下の姉は台所でなにか用意をしていたのか、とここに至ってようやく気がついた。
そのとき自分が下の姉の友人に何を言ったのかよく覚えていない。悲鳴を上げたのか、それともわたわたしながら詫びたのか。
わたしは奥の自分の部屋に駆けこんだ。ちょっとスカートがずり落ちていたかもしれない。
下の姉の友人もさぞや驚いたことだろう。部屋の扉が開いたから下の姉が戻ってきたのかと思ったら、制服を脱ぎかけの女子高生が入ってきたのだから。
友人が女性だったのがせめてもの救いだった。
あれが下の姉の彼氏だったらちょっと立ち直れた自信がない。
どうやら友人はかなりさっぱりした性格の人だったらしく、わたしのふるまいを笑い飛ばしてくれた。
「いきなり半裸の女子高生が入ってきたから驚いたわ」
いや、半裸なんで、そこまで脱いでませんから!
その後は下の姉の友人と仲良くおしゃべりをしました。
それからわたしは、階段を上りながら制服を脱ぐ習慣を改めましたとさ。