これがジェネレーションギャップというものか

白目の女の子

それは朝の電車でのこと

わからんのう……

ある朝の通勤電車の中でのひとこま。
電車ではできることなら座りたいと思うのはあたりまえのことだろう。
わたしが乗る駅では、座れるか座れないかの確率は半々というところ。

その日の電車内はまあまあの混みようだったが、なんとか座ることができそうに見えた。
その電車は、壁に沿って長いシートがあるタイプだったのだが、大学生くらいに見えるひとりの女性がなんとも妙な座りかたをしている。2人分の空間を使って座っているのだ。
彼女の右にも左にも0.5人分の空間がある。しかしそれではどちら側にも座れない。

人が少ないならともかく、増えてきたからには席を詰めるものではなかろうか。
「すみません、お隣に座っていいですか」
座れるものなら座りたいので、わたしは女性に声をかけた。

イヤホンをしているわけでもないし、聞こえないはずはないと思ったのだが、彼女は反応しない。正面を見たままだ。
「あの、お隣、いいですか」
わたしは再度言った。

やはり彼女は前を見たまま反応しない。
その様子から、わたしの声は聞こえているが、あえてスルーしているとわかる。
どういうこと?

いぶかしんでいるうちに、近くの扉から、彼女と同世代とおぼしき若い女性が乗り込んできた。
彼女は、たったいま乗ってきた女性に向かって手を振った。
「こっちこっち」

いままでの無表情はなんだったのかと思うくらいのいい笑顔だ。
あ、そういうこと。
お友達のために席を取ってたのね。
わたしはその場を離れた。

お友達思いだねえ。でもそういうことは教室か学食でやってくれたまえ。

席を譲られたよ

またある日のこと。
わたしは電車に乗っていて、扉のそばに立って本を読んでいた。
その日の電車も壁に沿って長いシートがあるタイプだった。

扉のそばには、友人同士だろう、高校生くらいの少女が2人いた。
ひとりはシートの端に座り、ひとりは立っている。
ふと座っているほうの少女が、あっ、と声を上げて立ち上がった。
「あの、ここ、座ってください」

え、わたし?
怪我をしているわけでも具合が悪いわけでもないのに席を譲られたのは初めてだ。
座っても座れなくても複雑な気持ちになる、微妙なお年頃だ。
せっかく譲ってもらったのだからと、わたしは少女にお礼を言ってシートに座った。

席を立った少女は、恥ずかしそうに連れの少女に言う。
「もう、わたし、この中で一番若いのに、なんで座ってるんだろう」

親切な少女を一瞬だけ凝視してしまったよ。
お嬢さん、その言葉は心の中にしまっておこうか。
そうでないと、微妙なお年頃の人たちが反応に困るからね。

いまの若い子はわからんのう、と膝の上の猫をモフりながら縁側でお茶をすすりたくなったよ。

あるいは会社の給湯室で

通じないのか!?

話は変わるが、会社の後輩女子にえらくいい子がいる。
素直で、真面目で、返事と笑顔がかわいい。

いままで一度もカラーもパーマもしたことないんじゃないかと思うくらい、真っ黒できれいな髪をしている。
いまどきこんな子がいるんだねえ。
ご両親、グッジョブです。
ああ癒やされる。そのまま成長していってね。

そんな癒やし系後輩女子と、ある日給湯室で一緒になった。
しばし雑談を楽しむ。
彼女は急須でお茶を淹れようとしている。

さっきがわたしが淹れたときに、お茶の葉はだいぶ開いていた。
もう美味しくないんじゃないかな。
「お茶、出涸らしになってない? 入れ換えたほうがいいかもよ」
後輩女子はちょっと首をかしげた。ああ、かわいい。
「でがらし?」

出涸らしが、通じない、だと。

ああ、こんなところにもジェネレーションギャップが。

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