会社を辞めたらストッキングを穿かなくなった件

昔ストッキングは必需品だった

長い期間会社員をしていたが、その間は常にストッキングを穿いていた。冬の間はタイツになっていたけれど。
たしか女性作家のエッセイで、ストッキングは会社員としての自分の象徴だった。会社員を辞めたら途端に穿かなくなった、というものがあった。誰が書いたエッセイだったかは忘れてしまったが、読んだときはまさに会社員真っ只中だったので、そんなものかと思った覚えがある。

象徴かどうかはわからないが、ストッキングは会社員としてなくてはならないものだったことは確かだ。必要にして、短期間で駄目になる消耗品でもある。
なんせわりとすぐに伝線してしまう。買っているものが比較的リーズナブルなものばかりだからか、伝線したりして駄目になるのも早い。すぐに駄目になるからリーズナブルなものしか買わないのか、リーズナブルなものしか買わないからすぐに駄目になるのかどちらだろう。

新しくパッケージから出して穿いているその場で伝線したこともある。たしかあのときは足の指の爪がちょっと伸びていたんだったか。軽く絶望したものだ。

よく買っていたのは、3足セットで1000円のものだ。メーカーによって穿き心地が違うから、自分に合うものを見つけるのはそれなりに大変だった。
いつ伝線するかわからないので、会社のロッカーにも予備を何足か置いていた。
こちらに置いていたのは1足ずつ個別に包装されている500円くらいのものだった。

え、なんで会社に置いているものはちょっと高いのかって? それはあれだ、ほら、会社に置いてるものは誰かに見られるかもしれないし、えーと、ちょっとした見栄?
あとはあれだ、同僚女性がストッキングが伝線して予備を持っていなくて困っているときに、さりげなく譲ってあげたりするからだ。
そのときは、やはり1足500円くらいのものでないとカッコつかないというか。
もちろんプレゼントするのだ。一応年長者だし、それくらいはいいところを見せないとだよね。

ストッキングを穿かないって楽だ

もう戻れない

ちょっと話がずれた。なにをいいたいかというとだ、長年会社勤めをしていたわたしだが、事情により退職することになった。
会社を辞めたあとは短時間の仕事をするというセミリタイア状態だ。
会社員の頃は制服を着ていて、履いていたのはタイトスカートばかりだったが、現在の仕事になってからはパンツばかり履いている。
となると身に着けるのはストッキングではなく靴下だ。

いや、ストッキングを穿かないって楽だねえ。一度この楽さに慣れたらもうストッキング生活には戻れない気がするよ。
会社員だった頃も、仕事が終わって家に帰ったらすぐにストッキングを脱いでいたものだけど、やっぱり窮屈だよねえ、あれ。
洗濯するとからまるしねえ。

そして今困っていること

捨てられないよ

おっとまた話がずれた。
というわけで、ストッキングを穿かない生活を送っているわけだが、ちょっとだけ困っていることがある。
なにかというと、会社員だった頃にストッキングの買いだめをしていたことだ。

なんといってもストッキングは消耗品だ。なくなったら困るわけで、わりとまとめ買いをしていたのだ。
なので、タンスの中にまだ使っていない、あるいはちょっとだけ使ったストッキングが何足もあるのだ。
何年も穿かないでいるので、さすがにちょっとだけでも使ったものは捨ててしまったりしているのだが、未使用の包装したままのものはもったいなくて捨てられない。

捨てられないが、限りあるタンスのスペースを取っているのも確かだ。
そのスペースがあれば、靴下を入れておくのが現在の生活には合っている。
未使用とはいえ、何年も置きっぱなしにしていれば経年劣化するんじゃないと思わなくもないし。

会社員を辞めてストッキングを穿かなくなった。今のところふたたび会社員になる予定はない。ストッキングは不要だ。プライベートで穿くこともめったにない。(プライベートで穿くならもっとおしゃれなものを穿くぜ)
かくしてタンスを開けるたびに、わたしはちょっとだけ悩むのだ。これどうしよう、と。
今のところ解決策はない。