
シンナーの臭いは苦手だ

あの記憶が蘇る……
タイトルがアレだが、誤解のないように言っておくと、わたしがラリっているわけではけっしてない。
室内でDIYにいそしんでいるわけでもない。
だいいちわたしはシンナーの臭いが苦手だ。
どのくらい苦手かというと、臭いを嗅ぎたくないからマニキュアをめったに塗らないくらいだ。最後に爪を塗ったのが何年前だかちょっと思い出すことができない。
これは沖端の女子力が底辺でめんどくさがりだから塗らないだけだろうという突っこみは情けがある人はしないだろうから置いておくとして。
あの臭いを嗅ぐと、昔、仕事帰りに電車に乗っていたときの悲劇を思い出す。
蘇るシンナー臭の記憶
そのときはえらく疲れていて、立って帰ることができないようだと判断したわたしは特急ではなく普通電車に乗っていた。
ぐったりとシートに座ってうつむいていたわたしは、隣に座っていた女子高生が、その日買ったとおぼしきマニキュアの小瓶を開けていたのに気づかなかった。
気づいたのは胃の腑を直撃する臭いがしてからで、わたしは慌ててその場を離れた。
そのときのわたしは、臭いが人体に与えるダメージを全力で受け取った。
あの臭いを嗅ぐと、胃を鷲掴みにされた衝撃と、密室でマニキュアの瓶を開けるという女子高生の美意識への畏怖と、すでに動いていた電車から降りることもできずに電車内で惨劇を起こすまいと懸命に自分の体をなだめていた焦りと、首筋を流れていった冷や汗の感触とを一気に思い出す。
なぜこんなにシンナー臭いのか

臭いにやられるよ
わたしにとってシンナーの臭いは鬼門にも等しい。
ではなぜそんなわたしの部屋がこんなにもシンナー臭いのか。
それはわたしの住んでいる集合住宅が外壁工事を行っているからだ。
それは外壁にとどまらなかった。外壁以外にも補修の手は伸びて、この集合住宅は内廊下なのだが、その廊下の壁も塗り直しをしている。
補修をしていただくのはまことに結構。管理会社の行き届いた管理には感謝したい。(管理会社が代わってから管理がよくなったよ、ありがたい)
しかしこのシンナー臭は辛い。
部屋に入ってもシンナー臭がつきまとう。
廊下からもベランダからも同じ臭いがする。
シンナー臭のサンドイッチ状態だ。
こう強烈なシンナー臭がしていたのでは、部屋の中でシンナー中毒になったりはしないのだろうか。
倒れたらどうする。沖端が部屋でシンナーでラリっていたらしいと、会社で妙な評判が立ったらどうするんだ。
沖端の評判はいかに! いやその前に早く終わってくれ、工事!
ベランダに突然作業員が立っているとびっくりするんだよ。