本は征服する山に似ているか

本を読む白猫

図書館でレンタルループする

図書館でよく本を借りる。というか、レンタルループになっている。
だいたい週に1回のペースで図書館へ行くのだが、本を返却すると同時に別の本を借りている。

地元の図書館には本館の他に分館がいくつかあるのだが、図書館のサイトで予約すると、本館、分館のどこに置いている本でも予約することができる。
大変便利なので、わたしはこのネットでの予約を大活用している。

会社勤めをしていた頃は隣の市に通っていたのだが、その頃も隣の市の図書館を大活用していた。ぶっちゃけ市としての規模は隣の市のほうが大きく、そうなると当然にして図書館の規模も隣の市のほうが大きく、読みたい本はそれこそ山のようにあった。

隣の市の図書館もネットの予約ですべての本館、分館の本を予約することができたので、常にマックスの冊数まで予約を入れていた。(確かマックスは20冊だった)

少し考えればわかることだと思うのだが、会社勤めをしているとあまり本を読む時間が取れない。おまけにわたしは本を読むスピードが早くない。
後先を考えず欲望のおもむくままに予約を入れるので、時には一気に予約した本が回ってくる。

そうすると当然の結果として期限内に本を読み切ることができず、期間を延長しても追いつかずに、いけないとわかりつつも貸出期間を超過することになってしまう。
図書館から返却催促の電話がかかってきて冷や汗を掻いたこともある。

今度は気をつけようと誓った

あれもこれも気になる

会社を退職したので隣の市の図書館を使うことがなくなり、地元の図書館から本を借りるようになった。
現在は短い時間のみの仕事をしているというセミリタイア状態なので、本を読む時間が格段に増えた。

しかしわたしは会社員時代の失敗を忘れないようにしようと誓った。
ので、むちゃな本の借りかたはしないようにした。

借りる冊数は控えめに、貸出期間を超過することは決してないという、実にまっとうな借りかただ。
しかしこれは地元の図書館のきまりごとにもよるものだった。
ネットでの予約冊数は⒌冊までというきまりだったのだ。
これは少ないだろう。わたしは思わず隣の市の図書館と比べてしまったよ。

予約待ちが複数人いる本を予約してしまうと、すぐに読める本の予約冊数が減ってしまう。
新刊は予約待ちがいることが多いので、わたしは⒌冊のうち何冊まで予約待ちの本を入れ、すぐに借りることができる本の予約を何冊入れるかで頭を悩ませていた。

そんなことで頭を悩ませなくても、もっと本を借りたければ実際に図書館に行って本を探せばいいのだろうが、ネットで予約することに慣れてしまうと、ついついそれだけで済まそうとしてしまう。

「予約」に入れることができない本は「お気に入り」に入れていた。ここに入れておけば気になった本をうっかり忘れてしまうことはない。「お気に入り」には50冊まで本を入れることができるが、いつもマックスまで入っていた。
現在もマックスまで入っている。何冊「お気に入り」から本を借りようとも、「お気に入り」から本を減らそうとしても、すぐにマックスになってしまう。なぜだ。

たがが外れてくる

制限なしになったよ!

もうちょっと予約本の冊数が増えないものか、と常々思っていたのだが、なんということでしょう、いつの間にか予約本の冊数が制限なしになっているではありませんか。
それに気づいたときは本当に驚いた。きっと同じようなことを考える本好きが多かったのだろう。図書館に働きかけをした人たちに感謝だ。

さて、予約冊数が制限なしになってきた頃から、少しずつたがが外れてきた。
あれもこれもと予約に入れるようになった。会社員をしていた頃は好きな作家の新刊や気になる本に手を出すだけで精一杯だったが、今の状況なら「昭和初め~中頃の本」や「読んだことのない作家の本」や「あまり読まない海外の本」にも手を出すことができる。

だがしかし、隣の市の図書館でやらかした失敗を忘れてはいけない。
わたしはなんとか自分を抑えながら本を予約した。

ループと征服

わかっちゃいるけどやめられない

そうして現在だ。
わたしは1回でだいたい5冊から8冊の借りている。その本を1週間で返却し、その場で新たに5冊から8冊の本を借りていく。そしてそれをループしている。

先にも書いたが、わたしは本を読むのがあまり早くない。1週間で借りた本を全部読もうと思うと大変だ。厚いハードカバーの本があったりすると特に。
ならもっとゆっくり読めばいいと思うだろう。貸出期間は半月ある。無理に1週間で返却する必要はないのだ。

それには理由がある。わたしは本を借りたその日には、次に借りる本を予約するのだ。しかたないだろう、気になる本は山のようにあるのだから。
図書館のスタッフは勤勉だ。予約した本があっという間に回ってくる。そして届いた本の取置期間は1週間だ。その期間が過ぎると予約した本はなかったことにされてしまう。

届いた本を借りるためには1週間後までに再び図書館に赴く必要があり、本を心置きなく借りるためにはそれまでに借りた本を返却しなければいけないのだ。

というわけで、わたしの部屋の本棚には「図書館から借りた本」を置く一角があるのだが、(ソファに座った状態で手を伸ばしやすい位置だ)そこに並んだ本を見るたびに思う。
今週も無事にこの本たちを読むことができますように、と。

読んだことのない本が並んでいてとても嬉しい。どれから読もうかとわくわくする。それは確かだ。でもその本たちは、1週間で読み終えなければいけない本たちなのだ。
征服しなければいけない山を前にした登山家のような、そんな気分になったりもする。

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