実るほど頭の下がる稲穂かな

稲穂
実るほど頭の下がる稲穂かな(みのるほどこうべのさがるいなほかな)

尊敬できるトップ

理想の上司を見た

会社に入ったときの社長がとても尊敬できる人だった。
年配の男性だったが、穏やかでにこやかで物腰が柔らかい、新入社員のわたしにも丁寧な話しかたをしてくれる人だった。
これぞ理想の社長の姿だと、新入社員のわたしは思ったものだ。

技術畑からのたたき上げの人だと知って、少し意外に思った。社長としては少々珍しい経歴ではなかろうか。
あまり技術畑の出身っぽくはないな、と思ったりもしたのだが、あれで若い頃はおっかなかったんだよ、と年配の社員が遠い目で語ったりもしていた。

当時の社長の姿を見て『実るほど頭の下がる稲穂かな』という言葉はこういう人のためにあるのだろうと感じた。

会社のトップには尊敬できる人が多かった。ありがたいことに、わたしと親しくしてくださる人もいる。わたしは彼らのことを、敬意を込めて『ボス』と(こっそり)呼んでいる。
機会があればボスの話も書きたいものだ。おっと話がずれる。

トップは腰が低い

こ、腰が低いんですね

担当している仕事の関係上、社外の人の応対をする機会が多く、ン十年勤務したので、数えきれないほどの訪問客に接してきた。
わたしとは天と地ほど役職の隔たった人から、新入社員まで。

迷惑営業の人にも数多く会ってきたが、まあこれは別の話だ。
あくまでも個人的な経験で物を言ってしまうけれど。

役職がトップ、あるいはトップに近いかたというのは総じて物腰が柔らかい。
丁寧な話しかたをする人が多かった。

会社を訪問するのは基本的には丁寧な人が多い。
が、中には、取引先とはいえ他社を訪問しておいてその態度はありですか、といいたくなる残念な人もいた。
さてそんな人たちの自社での立場はというと、これが真ん中くらいの立ち位置だ。いわゆる中間管理職というやつだ。

大事なことなので繰り返すが、あくまでも個人的な経験からの意見なのであしからず。
中間管理職の人が皆残念な態度を取るといっているわけでもない、残念な態度を取る人の中間くらいの役職名が目についた、という話だ。

というわけで、なにがいいたいかというと。
本当に(内実ともに)偉い人は偉い素振りをしないのだなということだ。
偉いふりをしなくてもいい。だって本当に偉いのだから。
偉ぶりたい人は(役職にかかわらず)残念ながらそうではないのだなと。

トップとの会食で

ある企業のトップのかたたちとの会食に加えてもらったことがある。
あちらもこちらも何人も人数がいる場で、いうまでもないが、わたしはおまけ参加だ。

そんなときに、先方企業の社長がとても気さくに接してくれて、こちらがたじろいでしまったりする。
社長自らがどんどん肉を焼いていき、
「ほら沖端さん、焼けたよ」と美味しそうな(高級な)お肉をわたしのお皿に乗せてくれたりする。

あ、ありがとうございます、というか、なんでトングを離さないんですか、社長。
あなたの部下がちょっと困った顔をしているように見えるんですが、気のせいですか。

かと思えば、あまりの気安い態度と話しやすさに、こちらが先方の役職を失念してしまいそうになる方に会うこともある。
しまった、この人、取引先の社長だったよ。親戚のおじちゃんじゃないんだよ、と内心で青くなったりする。

あの人たちは、実り多い稲穂を垂らしている人たちなのだろう。

彼らはどう変わるのか

さて話は変わるが、わたしは長年会社勤めをしていた。
毎年新入社員が入社してくる。彼らは年月を経る間にどんどん役職を上げていく。

彼らがどんな風に変わっていくのか、あるいは変わらずにいくのかと、わたしは興味深く見ていた。
わたし自身は下っ端なので、外から他人事のように眺めていた趣味の悪さはごめんなさい。

さあ、彼らは年を経るうちにどう変わっていくのだろう。
稲穂を実らせて頭を下げていくのか、それとも裸の王様になっていくのか。

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