気になるものを凝視する

驚く女性

わたしにはクセがある

気になるもの、妙なものを見たときに、それを凝視するというクセがわたしにはある。
視線が吸い寄せられてしまい、なかなかそれを外すことができない。

あまり自覚していなかったが、けっこう凝視しているらしく、連れに注意されたりする。
今回はそんなわたしのクセが出てしまった案件をご紹介しましょう。

今回は色つながりの話が3本

その1.青いジャージのおじさん

たしか近場への出張帰りの電車の中だったと思う。後輩女子と一緒に乗っていた。
今日も疲れたねえ、とかなんとかたわいのない会話をしていた。

その電車は、壁に沿って長いシートが設置されているタイプだった。遅めの時間だったので、乗客はあんまり多くなかった。
立っている人が少なかったので、向かいのシートに座っていた、50代後半くらいの男性が目についた。

50代の男性が電車に乗っているからといって不思議なことはなにもない。その人が上下揃いの青いジャージを着ていたところでそれは同じだ。
だがわたしの視線が吸い寄せられたのはジャージにではなかった。

男性が着ているジャージの胸元に飾られていた、大きなピンクのリボンだ。

胸元で存在を主張するピンクのリボンの形に見覚えがあった。あれは確か『美少女○士セーラー○ーン』の主人公がコスチュームの胸元につけているリボンと同じものではないか。
形といいサイズといい、そのまんまだ。

「ね、ねえ、あのおじさん……」
隣に座っていた後輩女子にひそひそと話しかける。
後輩女子も当然だがリボンをつけた男性の存在に気づいていたようだ。が、

「しっ、見ちゃいけません」
後輩女子に怒られ、すいませんとわたしは視線を逸らせた。

その2.赤いミニワンピース

友人と街を歩いていたときのことだ。
たしかそろそろ帰ろうかということになり、駅に向かっていたと思う。
駅の近くなのでそれなりに賑わっている場所だ。

ふと見ると、10メートルほど離れたところからこちらに向かって歩いてくる人がいた。
風が冷たくなろうという季節だったと思うが、その人は赤いミニのタイトなワンピースを着ていた。
上にはなにも羽織っていないので、ノースリーブの袖から出ている腕が寒そうだ。

まあそれだけなら驚くほどのことではない。だが、ストレートロングの黒髪の、ワンピースと同じ赤いヒールの靴を履いたその人は、どう見ても男性だった。

まだ若い、多分20代だろう。
やや遠目でもわかるウィッグといい、顔に合っていないメイクといい、おぼつかない歩き方といい。

『はじめてのお使い』ならぬ『はじめての女装歩き』?

世に女装家を名乗る人は少なくないし、メディアで見るその人たちは、とても美しいメイクや装いをしている。
だがしかし、だんだん近づいてくる赤いワンピースの男性は、まったく服になじんでいない。

よもやなにかの罰ゲームか。
隣を歩く友人から腕を引っ張られた。
「そんなにまじまじと見るんじゃない!」

あら、やってしまいましたか。

その3.オレンジ色のコートのお姉さん

遅い時間の電車の中だった。乗客はさほど多くはなかったと思う。
そのときの電車も、壁に沿って長いシートが設置されているものだった。

わたしはシートの端に座り、今日も疲れた、と思いながら開いた本に視線を落としていた。
すぐ横は電車の連結部だったので、わたしは心置きなく体を斜めにしてだらけていた。

向かいのシートにお姉さんが座っているのに気がついた。
疲れているのだろう、お姉さんも体を斜めにしてぐっすりと眠り込んでいるようだった。

鮮やかなオレンジ色のコートといい、ばっちり決まったメイクといい、とてもおしゃれなお姉さんだった。仕事は美容関係だろうか。
特にお姉さんを注視していたわけではない、そのときは。

ふと本から視線を上げたときだった。視線がお姉さんに吸い寄せられてしまった。
お姉さんは短めのタイトスカートを穿いていた。ぐっすり寝ているので、じわじわと足が広がっていく。足が広がるのにつれて、スカートが太ももへとずり上がっていく。

お、お姉さん、スカートがえらいことになってますよ!
スカートの奥が見えてますよ、お姉さん! おお、コートと同じ色なんですね、おしゃれですね、とか言ってる場合じゃないよ、こんなときはどうしたら!

お、お姉さん、スカートが……!

突っこんでくれる連れもいなかったのでひとりであわあわしていたが、わたしにはどうすることもできなかった。
せ、せめて周囲に睨みを効かせておきますので、お姉さん、早く起きて!

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