雨後の筍

たけのこ(カラー)

雨後の筍(うごのたけのこ)

同じような物事が、次から次へと現れたり起こったりすることのたとえ。雨が降ったあと、筍が続々と出てくることから ── 新明解故事ことわざ辞典

迷惑電話と迷惑営業が多すぎる

今日も今日とてベルが鳴る

2000年代から2010年代あたり、会社への迷惑営業や迷惑勧誘がやたら多かった。
今はあれこれの規制が厳しいので以前ほどではないが、緩かった当時は手を替え品を替えて迷惑営業があった。
特に電話営業で多かったのは先物や金、不動産などの投資関係だ。断っても断っても電話がかかってくる。


このおかげで、ひところは投資イコール怪しいという先入観ができていた。
まともな投資もあると知ったのはずいぶん後になってからだ。
(皆様も投資をするなら伝統的なスタンダードなものがいいと思いますよ。あと国が勧めているもの。iDeCoとかNISAとか。あれはいいですね、わたしもしています)

先方の営業担当も居丈高で威圧的なタイプが多く、かと思えばウナギのようにつかみどころのないのらりくらりとしていたりして、慣れない頃は応対していて怒りのあまり心拍数が激増して手が震えた。
ただでさえ貧血気味な上に鼻血が出やすいというのに、わたしの血流に負担をかけるのはやめてくれ。

わたしの血流に負担をかけるでない

やられっぱなしというわけにもいかないので、社内でもいろいろな対策をした。
よく電話をかけてくる会社は社名や担当者名、用件を書いた一覧表を作って、電話対応の多い社員で情報共有した。
どういう会社の作りをしているのか、声や話しかたを聞くからに同じ人物だと思うのだが、微妙に違う会社名で電話をかけてきたりする。関係会社? 子会社? そもそもが偽名?

妙な電話が。その手口とは

え、今なんて?

妙な手口がひところ出回っていた。
幌を被せた小型のトラックで荷物を運ぶ運送会社があるのだが、その会社を名乗ってくる。
自称運送会社が言うにはこうだ。


荷物を落としてしまい、おたくの社員に拾ってもらった。親切にしてもらったのに名前を聞きそびれてしまった。お礼をしたいので、おたくの会社の20代のおとなしそうな男性社員の名前を教えて欲しい。


1回目に電話を取ったときは、そんなこともあるかと思った。
しかし20代の男性社員といっても何人もいる。
すぐには個人を特定できないが、後で該当する社員がわかったらお礼の電話をもらったと伝えておく、と答えて電話を切った。

なんかおかしい

電話を切った後で、おかしいなと思い、調べてみた。
そうしたら、ネットには同じような電話がかかってきたという情報がいくつもあった。
『ウチの会社の前で荷物を落としたら親切に拾ってもらった。礼がしたいから優しそうな社員の名前を教えてくれって言われた。ウチの会社はちょっと特殊で、敷地内の建物周辺は一般の車両は侵入禁止なんだけど、どこで荷物を落としたんだろう(笑)』とか。
『会社の前で荷物を落としたって言われたけど、ウチの会社はビルの最上階なんだよね。
ビルの屋上でも走ってたんですかね(笑)』とか、他にもいくつも。


そういう手口か、と合点がいった。うっかり信じた自分に腹が立った。社員の名前を出さなくてよかった、と思った。

それからしばらくしたある日、また同じ運送会社(を名乗る人)から電話がかかってきた。
『会社の前で荷物を落としたら 中略 20代のおとなしそうな男性の名前を 後略』
という、前回とまったく同じ内容だった。


そんなに頻繁にトラックから荷物を落としているんですか、荷物の積みかたを変えたほうがよくないですか。


さてどう応対しようかと考えたが、
「20代のおとなしそうな男性社員ですか。もしかしたらオキハタ(仮)のことでしょうか」
と言ってみた。ちなみにオキハタ(仮)という男性社員は社内にはいない。
今日は不在だが、出社したらお礼の連絡をもらったことを伝える、と続けると、よろしくお伝えください、とあっさり電話は切れた。


数日後、沖端作成のブラックリストに載っている投資会社から、オキハタ(仮)に営業の電話がかかってきた。まあそんなところだろう。

受け身だけじゃ面白くない。反撃じゃ

受け身になっているだけなのも面白くないと、少しばかり突っこんだ対応もした。

これまた沖端作成のブラックリストに載っている、のらりくらりのウナギ電話をかけてくる投資会社だった。
代表を名指しして取り次いでくれというので、相手が嫌がるような質問をたくさんしてみた。
代表を名指したが面識はあるのか、話したことはあるのか、代表はあなたのことを知っているのか、どんな用件か、ご挨拶じゃわからないからもっと詳しい用件を言ってくれ、それではわからないからもっと具体的に、その他もろもろ。
質問を繰り返しているうちに電話は一方的に切れた。

一方的に切(りやが)った


切れたか、と思ったが、これくらいで済ますつもりはない。

電話は非通知でかかってきていたが、会社名がわかれば番号は調べられる。幸い相手は個人名も名乗っていた。
投資会社に電話をかけて、応対に出た女性にまずは無難に挨拶をする。

Let’s 反撃!


「さきほど○○様からお電話をいただきました。お話ししている途中で電話が切れてしまいましたので、こちらからお電話差し上げました」
と続けると、応対していた女性は「○○でございますか。申し訳ありませんが、○○はただいま打ち合わせに入っておりまして」と言う。
「そうでしたか、困りましたね」


どうしましょう、といかにも困ったように呟くと、
「よろしければ○○の携帯番号を申し上げましょうか。電話に出ることはできると思いますので」と親切に女性社員は言ってくれる。
個人情報の取り扱いがまだ緩かった頃なので、仕事用の携帯番号は割とあっさり聞くことができた。
ご親切にありがとうございます。助かりました。

一旦電話を切って、今度は○○さんの携帯電話にかけた。
何度かコールが続いたが「はい、○○です」と聞き覚えのある(少々引きぎみの)声が聞こえてきた。


わたしは営業用の声で話し始める。
「○○会社と申します。先ほどはお電話をありがとうございました。お話しの途中で電話が切れてしまったようですので、こちらからご連絡差し上げました」


○○さんはなにやら詰まった声で返事をしていたが、
「すみません、もう2度とそちらにはお電話しませんので」
と言って電話を切った。


あらそうですか? ではそういうことにしておきましょうか。

もうウチにかけてこないでね(はあと)

会社訪問バージョン


飛びこみの会社訪問がやたら多かった時期があった。
後年会社のセキュリティが強くなってからは飛びこみの件数はかなり減ったが、一時期は頻繁に飛びこみの営業がきた。

会社の業務にまったく関係のない営業も多かった。
会社は福岡県にあるのだが「北海道から来て物産を売って回っています。おつまみもあります。どうですか」とか。
北海道から売りに来たの? 車で個別訪問してるの?


「今だけメイク用品をお安く販売できます」とか。
大きなバッグを抱えたお姉さんでした。メイクアップアーティストが使うのかと突っこみたくなるようなパレットのメイク用品の販売をしていました。口紅やアイシャドウが何十色あったんだろう。使いこなせません。


「ぬいぐるみを販売しています、どうですか」とか。
ひと抱えはある大きな馬のぬいぐるみだった。うっかり気に入って同僚と買ってしまった。(買ったんかい)

今も実家のわたしの部屋にいる。

新卒女性(たぶん)の飛びこみ営業

御社の社長にお会いしたいです!

……いや、無理です。

一応仕事に関わりがある飛びこみもあった。
よくいわれる飛びこみ営業というものだ。
基本的につきあいのない会社の約束のない営業を取り次ぐことはないのだが、担当部署の社員が気に入るか気が向くようだと面談することもあった。


飛びこみ営業がきっかけになって取引をするようになる場合も、ゼロではない。
が、大抵は名刺やパンフレットを受け取るだけに終わる。

困るのは、いきなりお偉がたを名指しするケースだ。困るというか、はっきりいえば迷惑営業として撃退対象になる。
電話バージョンでも出てきた投資関係の会社の社員などが、突然訪問して社長を名指したりする。
まあ100パーセント会うことはできない。

今でも印象に残っている飛びこみ営業の人がいる。
わたしが応対したのだが、新卒と思える若い女性だった。
着慣れないスーツ姿に、薄いメイクと、後ろでひとつに括った黒髪をしていた。


初対面の印象としてはいいほうだ。少なくとも眉をひそめるほどのことはない。
朝から外回りをしていたのだろう、少し髪が乱れた状態の、入社したてと見える彼女は言った。
このあたりの会社を営業で回っている。社長に会いたい、と。

度胸試し訪問で社長を名指すのはいただけない

いわゆる度胸試しという営業だろう。
ひところは多かった。新入社員研修を終えたばかりと思われる若手が会社に飛びこんでくる。「名刺を○枚集めるように会社から言われているので名刺交換をしてください」と言ってきたりする。


彼らをいい意味で面白がって会う社員もいるし、名刺交換をする社員もいる。
彼らの必死さを応援したい気持ちもある。


だがしかし。飛びこみ営業で社長を名指すのはいただけない。まともな会社ならまず相手にしない。


若造が飛びこみで俺に会いに来ただと。わっはっは、面白い、どんな奴か顔を見てやろう、という展開になるのは残念ながら創作物の中だけだろう。
「新入社員が飛びこんできても、このていどの会社の社長なら会えますよね」と言っているようなものだ。度胸試しにしても度が過ぎている。

あなたがいる会社はあなたを大事にしてくれますか

怒鳴って追い返されても文句は言えないくらいには失礼なことをしている。
面前にいる若い女性はその失礼さを自覚しているのかどうか。


そして、そんな非常識な訪問の仕方を新入社員にさせている会社のやり方はどうなんだろう。

あなたの会社はあなたを大事にしてくれている?

会社勤めをする女性の先輩として、とてもやりきれない気持ちになった。
もっと大切に社員を育ててくれよ、と思った。


お約束のないかたは取り次ぐことはできません、と通り一遍の応対をして帰ってもらったが、もう少し突っこんだ話をしたほうがよかったろうかと、余計なお世話であれこれ考えた。
あの新入社員が、別の会社を訪問したときに手厳しく追い返されていないだろ
うか、と。

あのとき彼女に言えなかったぶん、いまここで書いてもいいだろうか。
あなたを大切にしない会社に、あなたが仕事をするだけの価値はあるだろうか。
日本国内には4百万の会社があるよ。

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