マイクを回すな

カラオケをする猫

カラオケボックスは鬼門なり

あなたはカラオケボックスに行くのは好きですか。
わたしは苦手です。カラオケボックスは鬼門だとすら思っています。
理由は簡単、わたしが音痴だからです。
音程も取れないし、リズムも取れません。

テレビで歌い手さんが発声練習をしているところを見たりしますと、ピアノの前に座っている人が、鍵盤のひとつをぽーんと叩いて、はいこの音を出して、と言ったりします。
あれが不思議でしかたがないんです。ピアノの音を聞いて、同じ音を声で出す。どうやったらそんなことができるのでしょうか。
またその指示を元に、歌い手さんは、あー、とか声を出したりします。
直前に聞いたピアノの音と、あー、の音が同じ音なのかどうかわたしには判別がつきません。

というわけで、カラオケは苦手なのです。歌を聴くのは好きですよ。友人同士ですと、たまあにカラオケに行ったりもします。歌を歌うよりしゃべっているほうが多いですけどね。
先日友人のカナと何年ぶりかでカラオケボックスに入りました。2時間ほどいたでしょうか。2人とも1曲も歌わずにずっとしゃべっていました。
え、カラオケボックスになにをしに行ったのか、ですか。
他人に聞かれる心配をしなくてすむ場所でおしゃべりを楽しんだんですが、なにか?

話を戻しまして、カラオケが苦手でなにが困るかというと、会社の飲み会の2次会がカラオケになることですよ。
ひところは2次会といえばカラオケでした。世の中に歌好きは多いものですね。
ベテランになってからは極力2次会には行かずにさっさと帰るようにしていました。
早く家に帰ってメイクを落としてお風呂に入っててれんとした部屋着を着てたらたらしたいんです。わたしの癒やし時間を減らしたくないんです。

会社の飲み会でカラオケから逃げられなかった場合は

それでも逃げられないときがあるんですね。お偉いさんが参加しているときとか、お世話になった方の送別会のときとか。
ええ、わたしは空気が読める日本人なので、観念してカラオケへ行くこともありました。

しかし皆さん歌がお上手ですよね。よほど若い頃からカラオケボックスに投資しているのでしょうね。そりゃあれだけ上手ければ、人前でも歌いたくなりますよね。

話は少し逸れますが、会社にはバンド活動をしている人も多かったですよ。学生の頃にしていたという人もいましたし、社員だけでメンバーを組んでバンド活動をしている人もいました。
ライブ会場を借りて演奏するというので、聴きに行ったこともあります。
社員としての顔しか知らない人がマイクの前で歌ったりギターを弾いたりドラムを叩いたりする姿は新鮮でしたね。
おじさんバンドをテーマにした小説を書きたいと思ったくらいです。ストーリーが浮かばなかったので断念しましたが。

話を2次会のカラオケボックス行きに戻しましょう。
一旦ボックス内のシートに腰を下ろしてしまえば、もうまな板の上の鯉状態です。逃げ出すことはできません。
あとはどうやって回ってくるマイクを躱すかが問題になります。

繰り返しますが、人さまが歌っている分には構わないのです。歌を聴きますし、手拍子だってしますよ。
だがしかし、それだけでは事は済まないのです。なぜマイクを回すんでしょうね。歌いたい人がマイクを取って歌えばいいと思うんですけどね。

歌いたい人だけが歌えばいいんだよ

ほら、次は沖端くんが歌って、とか本当に言わないでほしいんです。沖端さんの歌を聴きたいとかですね。わたしにとってはただの嫌がらせですからね。
引きつった笑顔を浮かべて、いえいえわたしはいいんですよお、とか言いながら、必死でマイクを他に回そうとします。
人前で歌うなんて公開処刑に晒される趣味はありませんが、あまりに強く断ると座の雰囲気が白けますからね、このあたりのさじ加減が難しいです。空気が読める日本人としての悩みどころですね。

マイクを回すな

マイクをさりげなく手元から遠ざけるテクを身につけよう

カラオケ嫌いを例えるならば、そう、こんな感じ

え、1曲歌うくらいなんということはないじゃないか、ですか?
知っている曲をなにか歌えばいいだけじゃないかと思いますか?

例えばこういうことを想像してみてください。
あなたは10人ほどのグループの中にいます。
グループのそばには1台のピアノがあります。
グループの人たちが順番でピアノを弾き始めます。実はグループの皆さんはピアノの経験者ばかりだったんです。

小さい頃からピアノ教室に通っていたとか、ピアノ科のある学校に通っていたとか、ピアノコンクールに出場したことがあるとか。
そんな皆さんが奏でる曲はとても美しいです。『ジムノペディ』とか『G線上のアリア』とか『トルコ行進曲』とか、一度は聞いたことがあるようなものばかりです。
美しい曲だなあ、とあなたは思います。と同時に、あなたはそわそわして、次第に嫌な汗を滲ませます。
そしてあなたの嫌な予感はあたります。

グループの人たちが、悪気なんてかけらもない、いい笑顔であなたに言うのです。
「さあ、次はあなたの番よ。なにを弾いてくれるの? 知っている曲でいいのよ」
グループの視線を一身に浴びます。でもあなたは『ねこふんじゃった』がせいぜいです。それさえうろ覚えです。
慌てて両手を振って断ろうとしても、グループの皆さんは笑顔であなたをピアノの前に座らせようとします。

歌が苦手な人がマイクを回されるというのは、これくらいの羞恥と恐怖なんです。おわかりになるでしょうか?

マイクから逃げられないときの最終テクニック

さて、そんなカラオケ嫌いのわたしですが、たまにどうしても逃げられないときがあるんですよ。お偉いさんからマイクを回されたときとかですね。
そういうときはどうするかですか?

沖端の必殺技を伝授しましょう。
デュエットをするんです。そうしたら半分の量を歌えばいいですからね。1曲全部歌うよりはマシです。
以前お偉いさんとこれをしたことがありますが、お偉いさんがやたら歌が上手なかただったので、沖端のヘタぶりが目立ってトホホでした。こんなこともあります。
あと変化球技としてデュエット曲の男声パートを担当するという手もあります。これでしたら女子と歌えますからね。普通に男性と歌うより抵抗が少ないかもしれません。
悪ノリの体で、思いきり低い声を作れば案外ごまかせたりします。ウケますしね。これで何度かしのぎました。

一番いいのは、カラオケハラスメントという概念が浸透することですかね。

広まれ、カラオケハラスメント!

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