伊能忠敬万歩計を買ってみた

ウォーキングを頑張るために

膨張する体に歯止めをかけ、あわよくば体重を減少させるべく、現在のわたしはウォーキングに精を出している。といっても歩くのはせいぜい1回につき小一時間ほどだが。

わたしなりに頑張っているつもりだが、なかなか体重に反映しない。いわんやなぜか体重が増えたりもする。これは体の脂肪が筋肉になっていると思っていいのだろうか(脂肪よりも筋肉のほうが重いというし)はたまた夜のお菓子が止められないからだろうか。

あまり効果が感じられないとウォーキングをするモチベーションが下がってしまいそうだ。
ここらあたりでテコ入れが必要だろうと、わたしは少し前から気になっていた伊能忠敬万歩計を購入することにした。
これはゲーム要素のある万歩計で、伊能忠敬の弟子になって、一緒に日本一周をして日本地図を描こうというものなのだ。

ある作家さんのエッセイでこの万歩計のことを知って、これはいい、と思った。これなら楽しくウォーキングをすることができるのではないだろうか。

ネットでポチった数日後、万歩計が我が家に届いた。包装、というか外箱がえらく立派なもので、最初はなにが届いたかと思った。
さっそく開封する。外箱に比べてパッケージは小さい。パッケージに比べて万歩計本体はさらに小さい。どうでもいいが、外箱がもう少し小さめならウチの集合ポストにも入ったと思うんだけどな。

これはいいんじゃないですか!

さっそく設定をしよう

説明書を開く。この万歩計は最初に各種設定をしなければいけないのだ。
熱しやすく冷めやすいところがあると自覚しているわたしだ。届いたらすぐにその手の設定をしてしまわないと、うっかり時間を置いたらその辺に放置したままになってしまいそうだ。

まずは現在の年月日や時間を登録する。
そして歩幅だ。これは日本地図を描いていくというものであることを考えると、重要な要素であると思われる。説明書には、10歩歩いて合計距離を10で割った数字が平均歩幅だとあるが、わたしの部屋ではそもそも10歩も歩けない。部屋が狭いし、家具が邪魔で歩けないのだ。廊下も10歩分もない。しかたないので、1歩を踏み出して、その長さを測ることにした。爪先から逆の足の爪先までを測ったのだが、おおよそ40センチというところだったので、それで登録することにした。

次は体重だ。これも消費カロリーを計算するために大切な要素であると思われる、ので、正直な数字を登録した。え、何キロかって? それは秘密です。

次に距離モードを登録する。これは日本地図を作成するのに、実距離モードと、何種類かある倍速モードのいずれかを選択するというものだ。
日本一周は、19044.18キロメートルあるらしい。これを実距離モードで歩くとしたらどうなるだろう。仮に一万歩歩いたとしても、歩幅が40センチなら1日の歩行距離は4キロメートルだ。(え、計算のしかた合ってる?)

天気が悪かったり、疲れていたり、たり、で毎日は歩けないだろうから、まあ年間の9割ほど、330日は歩いたとして、1年間の歩行距離は1320キロメートルだ。

日本一周するまでに、まあ、なんということでしょう、14年以上かかるではありませんか。
いくらなんでも長すぎる。日本地図を描く前に万歩計が壊れてしまいかねない。

それならマックスの50倍速ならどうだろう。これなら1日200キロメートル歩いたことになるぞ。3ヶ月と少しで日本一周だ。実距離モードとはえらい違いだ。
しかしあまり早くてもありがたみがないような気がする。

あとは2、5、10、30倍速だが。ここは50倍速との間を取って30倍速でいってみるか。これでおよそ半年というところだ。
半年後にはわたしのタダタカ万歩計は日本地図を描いている、はずだ。

あとは1日の目標歩数の登録だ。一万歩といきたいところだが、そんなに歩くかどうかわからないので、そして目標歩数に届かないとタダタカ師匠からの叱咤激励があるらしいので、とりあえず7000歩にしておく。(できるだけ目標歩数まで届いて師匠に褒められたい)

タダタカ師匠がわたしに突きつける

いろいろ突きつけられたよ

翌日、わたしはさっそくタダタカ万歩計と一緒にウォーキングをした。
ちなみに日本地図の出発地点は東京だ。

そうしたら衝撃の事実がわかってしまった。わたしはいつものウォーキングコースを歩いたのだが、そしてわたしはそのコースを、少なくとも3キロメートルはあると思っていたのだが、実は2キロメートルほどだったらしい。タダタカ万歩計がそう告げている。最初にその数字を見たときは、そんなバカな、と目を疑った。あいだにちょっと走ったりしたから、その分をカウントしていないのかもしれない。だがしかし、それを入れても2キロメートルであることには変わりない。

いわんや歩数でいけば5000歩にも満たない。そうなのか、そんなものだったのか。
こ、これは距離モードの登録を誤っただろうか。日本地図がはるか遠くに感じられる。

いやいや、目標を間違えてはいけない。最終目標はあくまでも体重減少だ。日本一周はそれに付随してくるお楽しみなのだ。
ここは着目するのは距離よりも消費カロリーだろう。そう思って消費カロリーを確認すると、まあ、なんということでしょう、100キロカロリーもないではありませんか。
わたしの好きなスーパーカップアイスの3分の1、いや4分の1くらいですね。

なんだかいろいろと突きつけられた気がする。データは非情だ。
タダタカ万歩計をそっとキャビネットの上に置いた。わたしは師匠とウォーキングを続けることができるだろうか。日本一周も体重減少も、わたしには叶えることのできない目標だったんだろうか。

翌日、それでもウォーキングをしようとタダタカ万歩計を取り上げた。画面には、師匠と弟子が一緒に歩いている画像が。そして、「ガンバルゾ」の文字が。
わかったよ、師匠。沖端、頑張るよ。

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