
面倒くさいのだ

だって面倒なんです
別に自慢にもならないが、わたしは面倒くさがりだ。たいていのことは面倒だと感じる。女としてそのジャンルが面倒なのはどうなんだ、というところまで面倒くさがりぶりは容赦なく及んでいる。
メイクするのは面倒くさい。が、仕事の場ですっぴんをさらすのは申し訳なくしのびない。
兼ね合いの結果、わたしのメイクは手抜きの最低限だ。
外出するのにマスクをするのがデフォルトになってからは、メイクは顔面の上半分のみだ。楽でいいのだが、難点は人前でマスクをはずすことが出来ないことだろうか。
いまだかつてつけまつげというしろものをしたことはない。ついでにいうとジェルネイルもしたことはない。
マニキュア? うーん、何年前にしたっけ?
たしか身内の結婚式のときにしたような……。
おしゃれも面倒なので、洋服を買うときは着回しがきくかが一番のポイントだ。
その次が洗濯機で洗えるか、次が丈夫で長持ちするかだろうか。
結果、いつも同じような服を着ている。なにを着るか考えるのが面倒なのだ。
外出は面倒くさいの最たるものだ。
休日といえば本を片手に部屋着でごろごろしている。
でかけるのは近所のスーパーくらい。当然すっぴんだ。
確実に女子力は低い

じょ、女子力?
確実に女子力は低い。もし女子力測定器なるものがあれば、数値を出せる自信がない。
『エラー』とか『測定不能』とか表示されそうだ。
そういう生活をしていると、おしゃれなママに叱られる。
「沖端さん、いい人見つけなさいよ」
それは休日におしゃれをしてメイクして外出しろということか?
ついでにおいしい店をリサーチしたり、イベントを探したり、楽しい大人の会話をシミュレートしたり?
もしかして手作り弁当やお菓子なんかもいるのか?
味がよく見栄えもするメニューで、かつ盛りつけにも工夫を凝らしたような?
お弁当を差し出すときは、おしぼりも忘れちゃいけないよ、的な?
当然『いい人』と飲みに行くときは女同士のときのように、だっはっは、と大笑いするわけにもいかないだろう。皿空けちゃおう、おかわりー、次なに飲む、とかいうノリにするわけにもいかず、相手のグラスが空きそうになればさりげなくおかわりを促したり、気の利くおしゃべりをしてみたり、うふふ、と口元に手を添えて笑ってみたり。
トイレに行く、と正直に言うわけにもいかないだろう。メイク直ししてくるね、とか微笑んで席を立たなければ。
戻ってきたときに口紅が剥げたままだったらおしまいだ。
手洗いに立ったときはマウスウォッシュもしたほうがいいのか?
で、メイク直しをばっちり済ませたら、ちょっと飲み過ぎたかも、とか言ってさりげなくもたれかかってみたり?
やっぱり面倒くさい
うう、想像しただけで疲れてしまった。ヒットポイントががりがりと削られて倒れそうだ。
横になりたい。できれば寝たい。
えー、面倒くさいなあ、とつい本音が出る。
「沖端さん、あきらめたらダメ。わたしは沖端さんに、ちゃんと恋愛とか結婚とかしてほしいの」
あきらめるな、ということは、努力しろ、頑張れ、ということだろうか。
それをしていないとあきらめていると思われるくらい、恋愛したり結婚したりということは努力と頑張りが必要なことなのだろう。
ますます面倒だな。