
愛猫のトラ猫の話
実家にはわたしが愛してやまない猫がいた。
名前はみゅうという。オスのトラ猫だ。
命名や我が家に来たいきさつについては長くて少々込み入った話になるので、ぜひ「愛猫とオイツー」をお読みいただきたい。宣伝でした。
さてこのオス猫みゅうは、実にケンカっ早い。
周囲を田んぼに囲まれた田舎在住のことで外に出していたが、若い時分からよくケンカをしては怪我をして帰ってきた。
動物病院のお世話になったことも数え切れない。
愛猫が野良猫だったら多分5回か6回は死んでいる。
ヤツは何度もケガをする

何度も何度も……
一度大怪我をしたときに(もちろんケンカの傷だ)庭先から外には出さないようにしていた期間があったのだが、よほど家の中に籠もらされたのが嫌だったのか、彼はいつも外の田んぼを眺めていた。
エリザベスカラーを装着した哀愁漂う猫背に胸が痛くなったものだ。
引きこもりのストレスが高じたのか血尿を出すようになった彼に、あきらめてまた外に出すようになった。
それでも年を取ってからは、若い頃に比べたら家にいる時間が長くなったのだが、怪我をして帰ってくるのは相変わらずだ。
説教は聞いちゃいない
なので、時には彼にこんこんと説教をすることになる。
「おまえはいったいいくつになったと思っているんだ。人間ならとうに高齢者だぞ。対する相手の野良っ子はいくつだ? 考えてみるがいい。じいさんがヤンキー高校生にケンカふっかけてるみたいなものだろう。いくらおまえが栄養が行き渡っているとはいえ、そして相手の野良っ子がおそらく腹を空かせているだろうとはいえ、じいさんとヤンキー高校生のケンカじゃあまりにも分が悪いんじゃないのか」
わたしがこんなに切々と言い聞かせているというのに、当の本猫は馬耳東風というか、猫耳説教というか。

人の話を聞けよ、愛猫
聞いているのか、おまえは。ちゃんと耳を傾けろ。誰が耳をかけといった。
そして無視するな。どこか行こうとするな。モフらせろ。
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