二の足を踏む

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二の足を踏む(にのあしをふむ)

ピアスホールの話

わたしも一応女子だった


わたしの両耳にはピアスホールがひとつずつ開いている。
ずいぶん以前に開けたものだ。もう何年もピアスを使っていないので、ホールはほとんど塞がってしまっている。

女子力が底辺のわたしも、ピアスに憧れた時期があった。イヤリングをつけていた頃もあるが、落としてしまったり、落とさないようにときつめにネジを締めて耳たぶが痛くなったりした。
ピアスならそんな心配はないよね、と思ったのだ。

下の姉がピアスを着けていたのを、おしゃれでいいなあ、と見ていたのもある。
だが自分で自分の耳にホールを開ける自信はなかった。わたしはあまり器用ではない。

友人から聞いた話を思い出す。自分でピアスホールを開けたら思った位置にホールが開かなかった。もう一度開け直したら最初に開けたホールと繋がってしまい、ホールがひょうたんみたいな形になってしまった、と。
なんですかそれは。ホラーですか。

当時流行っていた都市伝説を思い出す。
ピアスホールを開けたら、そのホールから白い糸が出てきた。白い糸を引っ張ったら失明したというものだ。(白い糸が視神経だったというオチらしい)
都市伝説というか、すでに怪談だ。

病院でピアスホールを開けよう

病院へ行けばホールを開けてくれる。しかしひとりで行くのは心細い。
というわけで、面倒見のいい友人を説得し(そそのかしたともいう)一緒にピアスホールを開けに行った。

病院での処置はあっさりと終わった。ホールを開けたい位置に印をつけ、耳たぶを冷やし(たと思う。記憶が薄いが)ピアッサーのような器械でばちんとホールを開けると同時にピアスをつける。
それなりの衝撃はあったが、痛みはさほど感じなかったと思う。

病院でつけた仮のピアスは、たしか医療用にも使われるという金属でできていた。
1ヶ月は着けっぱなしにし、その間は1日に2回は消毒することや、ホールが塞がらないようにピアスを回転させたり前後させたりして動かすなどの注意を受けた。
少々面倒ではあったが、ピアストラブルは恐かったし、真面目に手入れを続けた。

医療用のピアスを使っていた時期は、さほどのトラブルはなかったと思う。
1ヶ月を経過した後、わたしはさっそくいろいろなピアスに手を出した。
キャッチ式のものやフック式、細い鎖が長く下がっているものも。

ひととおりのトラブルも経験した。
わたしはピアスは24時間着けていいと思っていたので、ピアスを着けたまま入浴もしていたのだが、髪を拭くときにバスタオルにピアスのキャッチが引っかかって飛んだことがある。耳たぶが引っ張られて涙がにじむくらい痛かった。

ピアスをしたままで寝ていたりもしたので、寝返りを打ったときにキャッチが枕に引っかかって痛みで目が覚めたりした。
さすがに学習して、家に帰ったらピアスをはずすようにした。

ピアスホールが化膿したこともある。ホールから血だの膿だのが出てきたり、治ったと思ったらかさぶたでホールが塞がったこともある。
ポストと呼ばれるピアスの軸の部分が赤く染まったときは、ここまでしてピアスを着ける意味があるのだろうかと悩んだ。

それでも一時期はやたらとピアスを買い集めていた。思い切ってダイヤのピアスを買ったこともある。
そういえば、あのダイヤのピアスはどこにいったんだろう? ポストがちょっと太くて、着けていると耳たぶが痛くなってしまうので、結局数回着けたきりになってしまった。

痛いトラブルはそれなりに経験したよ

だんだん面倒になってくる

そうこうしているうちに生来の面倒くさがりが徐々に顔を出す。
ピアスを着けたりはずしたり、消毒したりがだんだん面倒になってきた。

気がつけばピアスをしないままで数ヶ月どころか1、2年経っている。
病院でホールを開けたときは、耳たぶにぽっかりと開いた穴におののいたものだが、ポストが細いピアスを着けたり、ピアス自体を着けないでいるうちに、ホールはすっかり小さくなった。鏡で見てもよくわからないくらいだ。

買い集めたピアスも大半は処分してしまった。
残っているのは、身内や友人からプレゼントされたりお気に入りで処分できなかったりが数点くらい。

先日ふと思いついて、出かけるときに久しぶりにピアスを着けてみた。
あんまり久しぶりすぎてホールが完全に塞がっているんじゃないかと思ったが、なんとかピアスを通すことができた。

が、2時間もしないうちにホールが痛くなって着け続けることができなくなり、はずした。
ホールが痛んで、軽く膿んだ。

だめだ、わたしの耳にはもうピアスを着けることができない。
手元にピアスはいくつかある。お気に入りだ。たまには着けてみたい。
しかしわたしのホールではもうポストを通すことはできない。

もう一度ピアスホールを開けるべきだろうか。
あの手順を最初からやり直すのか。なまじ工程を知っているだけに面倒だ。

開けたとしてわたしのことだ、ピアストラブルを起こすのが明らかでもある。
ピアスは(たまには)着けたい。しかしピアスホールを維持するのは手間がかかる。

ピアスホールを開けるべきか、開けざるべきか、それが問題だ。

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