男友だちの恋愛事情を見守った話

異性の友人と運動

スポーツジムに通っていた頃の話

ジムに通うのは会社員あるある

『ヘタれエッセイ』『それはわたし編』で『スポーツジムに通ったり通わなかったりする話』を書いた。
最後の数年は幽霊会員だったが、けっこう何年もジムに籍は置いていたので、ジムで知り合い、仲良くなった人もいた。

その中に、ひとりの男性がいた。彼は当時で20代半ばくらいだっただろうか。たしかわたしより10才ほどは下だったはずだ。
彼は、短髪でメガネの似合う、スポーツ系青年だった。

まあメガネくんとしておこうか。(某有名バスケマンガのメガネくんを連想してしまうが)
メガネくんはジムに熱心に通うくらいだからスポーツ好きで、市が開催するマラソン大会などにも出ていたようだ。
わたしは会社の同僚と数人でジムに入会していたので、同僚たちとメガネくんとでジム帰りにご飯を食べに行ったりもしていた。

人のことはまったく言えた義理ではないが、メガネくんは恋愛方面には疎いようだった。
(本当におまえが言うな、という感じだが)

わたしとは年が離れているせいかごく普通に話しているのだが、女性の前だとうまく話せないようにも見えた。
だがしかし、アドバイスできるほどのスキルが残念ながらわたしにあるわけもない。

メガネくんに彼女ができた

そうこうしているうちに、なんとメガネくんに彼女ができたという。
わたしは甥っ子に彼女ができたかのように驚いた。

相手を知って2度驚いた。
その彼女もたしかジムに通っていた女性ではなかっただろうか。

顔が小さくて、美人で、すらりと背が高くてスタイルのいい、金髪の外国人だった。
国は欧州だっただろうか、いわゆるスラブ美人というやつだ。

えらい美人を捕まえたもんだ、とメガネくんの隠れた手腕に驚いた。
おめでたい、と思ったのは本当だ。メガネくんとはかなりタイプが異なるので、上手くいくかな、とも思ったのは余計なお世話というものだろう。

メガネくんは彼女に夢中になった。
ジム帰りだったかにメガネくんとお茶したときがあったが、メガネくんは、彼女の国の言葉を勉強しているといい、彼女の国の言葉でプロポーズをしたいと嬉しそうに話していた。

ええ、つきあって数ヶ月くらいだと思うけど、もうプロポーズを考えてるの?
さすがに突っ走りすぎなんじゃ、と心配になった。

彼女の話はいろいろとメガネくんから聞いていた。
人のことはよく見えるというのか、聞いていて、ん? と思う話もあった。

もう少しお互い知ってからのほうがいいんじゃないかな。
人の恋愛に首を突っこんではいけないと昔学んではいたが、国が違うといろいろと大変だろうし、ゆっくり考えたほうがいいよ、とかなんとかメガネくんに余計なお世話をしてしまった。その言葉がメガネくんに聞こえていたかはわからない。

メガネくんからの突然の電話

ひと様の恋愛に口を出すスキルはないが

わたしはあまりジムに通わなくなり、そうなると当然だがメガネくんと会うこともなくなる。
たまにメガネくんのことを思い出して、彼女と上手くやってるのかな、と考えたりもした。

メガネくんとお茶をしてどのくらい経った頃だろうか、ある日突然メガネくんから電話がかかってきた。
メガネくんから電話がかかってきたのは数えるくらいしかなかったので驚いた。
久しぶりに聞いた彼の声は、なにやらひどく沈んでいた。

メガネくんは彼女の振るまいや言動にとても疲れていて、彼女との関係に悩んでいた。
ひとしきりメガネくんの話を聞いた。

「彼女に振り回されてるねえ」とわたしは言った。
「本当に振り回されてます」とメガネくんは答えた。
「いまメガネくんの中心にいるのは彼女さんだもんね。自分の中心にいるのが自分じゃなければ、そりゃ振り回されるよね」

メガネくんは一瞬黙り、
「……沖端さん、いま俺の中に雷が落ちました」と言った。
おお、雷が落ちたか。そりゃよかった。その光で自分の中をあますところなく照らしたまい。
そうすれば自分がどうしたいかわかるかもよ。

その後メガネくんがどう考えたのかはわからない。それきり、話す機会もなかった。
メガネくんとは、その後2度ほど道でばったり会った。どちらもかなり期間が空いた後だ。

1度目に会ったときは、メガネくんの隣には、小さな可愛い黒髪の女性がいた。
2度目に会ったときは、小さな女の子と手を繋いで散歩していた。
メガネくんは、とてもいい笑顔でわたしに挨拶してくれた。

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