李下に冠を正さず

かんむり
李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)

人から疑われるようなまぎらわしい行動はすべきではないという戒め   ── 新明解故事ことわざ辞典

化粧品を買いに行った話


あれは駅ビルの中にあるお店に化粧品を買いに行ったときのことだ。
フィニッシングパウダーを買おうと思ったのだ。
今使っているものは、お値段がリーズナブルなわりに使い心地が良くて気に入っている。

そのお店は化粧品の他に雑貨や文房具などの品揃えも良く、買い物に来ると、ついつい目的外のものまであれこれ見てしまう。(そして買い物を増やすまでお約束だ)
その日も、ああこれこれ、とお目当てのフィニッシングパウダーを手に取り、せっかくだから他の物も見ようかと、フロアの中をふらふらと歩いていた。
そのとき、

突然声をかけられる

え、わたし?

「すみません、お客様」
背後から声をかけられた。
振り返ると、お店のスタッフらしいエプロン姿のお姉さんが立っている。

え、わたし?
なにかしたっけ? といぶかしみ、は、と思いついた。
商品だけを手に取ってふらふらしていたから、怪しまれたのだろうか?
ひょっとして万引きと間違われた?
こんなに人畜無害でヘタれな人間なのに、そんな。

そういえば以前にも似たようなことがあったような、と思い出した。
振り返ったらスタッフのお姉さんが立っていて、
「お客様、よろしければこちらをお使いください」
と、商品を手に持っていたわたしに、小さなカゴを渡してくれたのだ。
お姉さんの笑顔に『まぎらわしいことをしないでちゃんとカゴを使ってくださいね』と書かれていた気がするのは考えすぎだろうか。

声をかけられたわけは

しまった、また同じことをしてしまったか。
わたしは焦りつつ、声をかけたお姉さんに「はい」と返事をした。

商品だけ持っててすみません、と言う準備はできていたし、なんならカゴを受け取るために手も差し出しつつあった。
お姉さんは笑顔で続けた。

「お持ちのパウダーは見本ですので、商品をどうぞ」
わあ、気づかなかったよ。

お姉さんが売り場に誘導してくれたよ

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