
わたしの住んでいる部屋は

小さい洗面台は大変
わたしは集合住宅に住んでいる。間取りはワンルームと1Kの中間というところだ。おせじにも広い部屋とはいえないが、一人暮らしだしまあこんなものだろう、特に不便はないし、と思っている。
正直いえばゆったり広めの1LDKくらいの部屋に住んで、壁一面に床から天井まである本棚を置いて、そこにお気に入りの本をずらりと並べたいものだけれど。
わたしの理想兼野望として、いまはまだ心の奥にそっとしまっておこう。
ところで今回は風呂場の話だ。
風呂とトイレは別になっている。そこは譲れなかった。
が、洗面台が独立ではなく、風呂場の中に小さい円形の洗面台がついている。
狭めの部屋でよくあるタイプだ。
部屋の内見に来たときに、洗面台が小さいな、とか、洗面台の収納がなくて不便だろうな、とか思っていた。
それはまったくそのとおりなのだが、いざ住んでみると、別の面で困ったことがあった。
風呂場に洗面台があるのだから、当然だが風呂やシャワーを使った後は床が濡れている。
風呂場を使ったあとは軽く水気を取るし、換気扇も回しっぱなしだが、短時間では床は乾かない。
床が濡れている
そうなると、寝る前に歯を磨こうと思ったときに、濡れている床の上に立つことになる。
夏場はいい。どうせ部屋の中では裸足だから、足が濡れてもバスマットで拭けばいいだけの話だ。
問題なのは冬場だ。足先はしもやけができるくらい冷えるので、靴下を履いている。
なので歯を磨こうと思ったらまずは靴下を脱がないといけない。それだけでちょっと冷えるのに、風呂場に入れば足が濡れるのでさらに冷える。
この冬場の靴下の脱いだり履いたりが地味に面倒なのだ。
5本指靴下とか履いていたらさらに面倒度が上がる。
洗面台が風呂場の中にあるってちょっと不便だな、と思っていた。が、それだけだとも思っていた。違うことに気がついた。
ある日のことだ。わたしは風呂に入っていて、体を洗っていた。
洗い場もそんなに広くはない。ちなみにわたしは風呂場では風呂椅子を使っている。その日はなんとなく、いつもとは違う位置に足を伸ばしていた。
伸ばした足を洗おうとして、タオルを手に下を向いたまま体を屈ませた。
ら、洗面台に思いきり額をぶつけた。
風呂場に洗面台がある悲劇

思いきりぶつけたのだよ
風呂椅子を使って体を屈ませた場合の額と洗面台がちょうど同じ高さだったのだ。
痛かった。あれは痛かった。がん、という衝撃が頭に響く。
痛ったああ、とわたしは呻いた。わたしはこのたぐいの呻きをわりとひんぱんに出している。うっかり体質なのだ。
話は変わるが、30代に入ったあたりから、個人差はあるものの人の脳は少しずつ萎縮していくらしい。そうなると、頭蓋と脳を繋いでいる血管が脳の萎縮に従って伸びていき、大きな衝撃ではなくても血管が切れやすくなるとかなんとか。
以前テレビで見たうろ覚えの知識が脳裏をよぎる。(真偽については責任をもちかねるのであしからず)
わたしはそろりと額を撫でる。痛い。ぶつけた場所がぷくりと盛り上がっている気もする。
腫れてきたから大丈夫かな、わたしの脳とか血管とか。
特に脳は大事にしなければと思っているのに、持ち主がうっかり体質なばかりに、苦労をかけるよ、面目ない。
一抹の不安を抱えながら、わたしは体の位置を変えて、中断していた足を洗うことにした。
それから2日くらい額が痛かったけれど、まあこうやって顛末を文章にしているくらいだから、わたしの脳は無事だったのだろう。よかったよかった。