
夜中に鏡を見たら

め、目が……!
あなたは夜中に自分の顔を鏡で見て悲鳴を上げたことはありますか?
わたしはあります。
あまりしたい経験ではありませんよねえ、まったくのところ。
あれはわたしが20代前半くらいの頃だったと思います。
夜中のことで寝ていたんですけど、目を覚ましたんですね。
すぐに目の違和感に気づきました。左のまぶたが腫れぼったいように思えたんです。
妙にまぶたが痒いですし、熱を持っているような気配もありました。
気になったので、ベッドから起き上がって洗面所へ行ったんです。
洗面所の鏡で自分の顔を見ましてね、ええ、悲鳴を上げました。うお、なんじゃこりゃ、と。
かわいい悲鳴じゃないのが我ながら残念ですよねえ。
左目に異変が
思ったとおり左のまぶたは赤く腫れていて、半分ほどしか開いていませんでした。
左目は涙目になってうるうるです。ここらへんくらいまでは予想していました。
しかし、予想外だったのはここから先です。
黒目のふちが、円ではなくうねうねと歪んでいます。白目が黒目のふちを浸食しているのだと気づきました。
さらに目の下側にはゼリー状になった白目が溜まっています。
わたしはしばし呆然と鏡を見ていました。
夜中に鏡を凝視する女。端からはどう見えたんでしょうねえ。
目の下側にゼリー状になって溜まっている白目を掴んで引っ張り出したい衝動に駆られました。
そうすればすっきりするように思えたんですよね。さすがに理性が実行するのを止めましたが。
とりあえず手持ちの目薬を点して朝を待ちました。
朝には多少はマシな状態になったような気もしましたが、ゼリーは完全には消えていません。まぶたも腫れたままです。
これは困ります。その頃担当していた仕事の関係上、わたしは社外の人に会う機会が多かったのですが、この顔を晒してしまうのは忍びないです。
朝一で眼科医へ

病院に飛び込んだよ
その日は遅刻をしたんだったか午前休を取ったんだかしたと思います。
朝一番で眼科医院に飛びこみました。
診察が終わってから、わたしは先生に聞きました。眼帯はしなくていいですか、と。
診察が終わる頃にはゼリー状のものはなくなっていたようでしたが、あいかわらずまぶたは腫れていますし、目は赤かったんです。
目の周りはメイクをできませんでしたし、人前に晒すよりは隠すほうを選択したかったのです。
先生の返事は、眼帯をする必要はない、でした。
いやでもですね、わたしは社外の人の対応が多い仕事をしていまして、と言い募るわたしに、先生は朗らかに笑ってくださいました。
「それくらいの腫れじゃ、わからんわからん」と。
それはあれですか、わたしの目が元々腫れぼったいから、ちょっとくらい片目が腫れても気づかれないよと、そういうことなんですか?
肯定されるのが恐かったので突っこみませんでしたが、眼帯はもらえませんでした。
目薬だけもらって病院を後にしまして、会社に向かいました。
目のことは、そうですね、何人かの社員には聞かれたように思いますよ。よく覚えていませんが。
大多数には気づかれませんでしたが、なにか?
原因は不明
原因ですか?
それがよくわからないんですよ。
先生に教えてもらった記憶もないですし。
その頃つけていたコンタクトレンズのせいなのか、それともなにかのアレルギーだったのか。
そうそう、今回このエッセイを書くにあたってググってみたのですが、どうやらこの症状は『結膜浮腫』というもののようです。
詳しい知識はプロにお任せしますので、気になるかたはググってみてください。
経験と知識を得ましたので、今度同じ症状に見舞われたときは慌てないですむと思います。
経験は糧になりますし、知識は力になりますよねえ。
とはいっても、白目がゼリー状になる経験なんて、もうしなくていいんですけどね。