
専門学校生だった頃の話
あなたは通学路で遭難しそうになったことがありますか。
わたしはあります。
あれはデザイン系の専門学校へ通っていた頃の話です。
学校は遠く、自宅から私鉄と地下鉄を乗り継いで、片道1時間半くらいはかかっていました。まだ学生で体力があったとはいえ、よく通っていたものです。
世の中には通勤で片道2時間オーバーという猛者もいるようですが(特に都市圏)とても真似できません。ただでさえ疲れる仕事をしに行くのに、そこにたどり着くまでに片道2時間……。考えただけで魂が抜けていきそうです。
ある冬の日

寒かった。すごく寒かった
話を戻しましょう。というわけで、学校まで遠かったので、なかなか通うのは大変でした。
ある冬の日のことでした。すでに朝から雪が降っていたと思います。
けっこう降っているな、と思いました。
今日は学校へ行けるかな、と心配になりました。が、根が真面目なもので、体調を崩しているわけでもないのに休めないと、雪の中を駅へ向かいました。
(うっかり休むと一気に授業が遅れるんです。先生は恐いですしね。なかなか点数をくれないし、おっと本音が)
電車は動いていました。動いているからには乗らないといけないでしょう。
私鉄と地下鉄を乗り継ぎ、学校がある最寄り駅に着きました。
学校は最寄り駅から歩いて10分か15分くらいだったと思います。
駅を出たら、もう目の前が白いんです。
雪が斜めから降っています。
それを見ただけで腰が引けてしまいました。
これはすでに遭難レベル
駅から足を踏み出すのに勇気がいりました。
福岡在住のことで、雪には不慣れなんですが、たまにこんな風に雪が降りますよね、この辺も。
学校へ向けて歩き出しましたが、斜めに吹きつける雪で視界はほとんどききません。
傘を持っていたと思いますが、何の役にも立ちません。
べしゃべしゃした雪が吹きつけてくるので、着ている服がどんどん濡れていき、寒くてしかたありませんでした。
足先や指先の感覚がなくなっていくのがわかります。
とにかく学校へ行かなくてはと、その一念で歩いていました。
教材を入れた大きなカバンが肩に食いこんで痛くて重かったです。わたしはカバンを握りしめるようにして少しずつ歩いて行きました。
視界がきかないのがとにかく恐く、踏み出す足の先に地面がなかったらどうしようとか、バカなことを考えたりしました。
今から考えたらなぜそんな思いまでして学校へ行こうと思ったのか、我ながら不思議です。
困難を乗り越える自分に酔っていたのでしょうか。今ならそもそも家から出ずに部屋でこたつに入っています。膝の上にもふもふがいれば文句なしです。

遭難するよお
ようやく到着したら
気分は雪山で遭難した隊員Aでした。
天は我を見放した、と叫びたくなりました。
必死になって歩いているうちに、ようやく学校に着きました。
頭の先からつま先までぐっしょりです。寒くてがたがた震えていました。
学校の玄関前には生徒が何人か立っていたと思います。
学校の玄関に貼り紙がしてありました。
『悪天候のため休講します』
その場に崩れ落ちそうになりました。
ああ、雪のつらい記憶がまたひとつ。