
昔からマンガを読むのは好きだった

いくつになってもマンガ好き
子どもの頃から本を読むのもマンガを読むのも好きだった。
それは中学、高校と学年が上がっても、大人になっても変わらない。
日本は世界に誇るマンガ文化だと思うが、わたしが子どもの頃は、まだマンガの認知度はさほど高くなかったように思う。
周囲の大人にマンガを読む人はほとんどいなくて、たまに読む人がいると、「あいつは30過ぎたのにまだマンガを読んでいる」などと言われたりしていた。
子どものわたしは、30才過ぎたらマンガを読んではいけないのだろうかと悩んでいた。
その当時から、自分はこの世界からずっと抜けられないだろうと思っていたのだ。そしてその予想は当たっている。
幸いなことにマンガはどんどん認知されていき、大人が読んでいてもまったく恥ずかしくないものになった。そもそも昔から読んで恥ずかしいものではない。
電車の中でスーツを着た会社員がマンガ雑誌を読む光景が珍しくなくなり、今ではスマホでマンガを読む光景が当たり前になっている。
どうでもいいことだが、スマホの小さい画面でマンガを読むのはわたしには困難だ。あの画面でマンガを読める人がうらやましい。
電子マンガを読もうと思ったらわたしにはパソコンの画面が必要だし、わたしの使っているパソコンはノートパソコンで画面のサイズがそこまで大きくないので、マンガを読むときはサブモニターを使っている。
ちょっと話がずれたか。
あれは高校生の頃
タイトルを回収しよう。高校生のときは自転車通学をしていた。
近所に同じ高校に通う人がいて、その人と一緒に通学することが多かった。
彼女もとてもマンガが好きな人で、わたしとは好きなマンガが似ている上に同じマンガ雑誌を買っていたので、よくその話をしていた。
ある日の登校時、その日はマンガ雑誌の発売日の翌日だった。
わたしにはその頃ちょっとしたクセがあった。なにかというと、マンガ雑誌を読むのを週末のお楽しみにしていたのだ。
平日の発売日にマンガ雑誌を買っても、土曜日になるまでその雑誌は開かない。
週末の解放感と共に読むマンガの、なんて楽しいことだろう。
ということで、発売日の翌日だったが、わたしは手元に雑誌は持っているものの、まだ読んでいなかった。
一緒に登校していた彼女は発売日の昨日のうちにすでに読んでしまったらしい。
おそらく彼女は好きなものは先に食べるタイプだろう。わたしは最後まで残しておくタイプだ。
彼女の顔には『昨日読んだばかりのマンガの話をしたい。大好きなあのマンガの話を語りたい』と大きく書かれていた。
いやわかるよ。好きなマンガを語りたい気持ちはわかる。だがしかし、わたしはまだ読んでいない。というか、週末のお楽しみに取っている。ネタバレの話をされたくない。(ネタバレはわたしがこの世で忌むもののひとつだ)
そんなわたしの気持ちを知らない彼女は、
「あのマンガ読んだ? 面白かったよねえ。気になるところで終わっちゃったね」
と、話をし始めた。
彼女が話題に出したマンガは、そのとき雑誌に掲載されているマンガの中でも、わたしが一番のお楽しみにしていたものだった。
興奮気味に話し始める彼女を、わたしは慌てて止めた。
「ちょっと待って。わたしはまだマンガを読んでないから、ストーリーを聞きたくない」
うんうん、と彼女は返事はしたが、興奮している彼女にわたしの言葉は届いていなかったようだ。

やめてえぇ
うん、気になるよねえ
「でね、あのキャラがこう言うんだけど、それに対してあのキャラがこう返して、で、その後のストーリーがああなって」
彼女はとても記憶力が良かった。キャラクターのセリフまで細かく話してくる。
あああ、どんどんストーリーがバラされていくよ。
自転車のハンドルを握っているので、耳を塞ぐこともできない。
楽しそうに話す彼女を止めることができないでいるうちに、ストーリーはどんどん進んでいく。
校門に到着する頃には、ストーリーも最後まで到着してしまった。
「で、キャラの○○っていうセリフで続きだよ。続きが気になるよねえ」
満足げに話を終えた彼女に、わたしは力なく笑みを返した。
ああうん、気になるよねえ。
