夢見がよくないのだ
夢が怖い
以前に何度か書いたが、わたしはあまり夢見がよろしくない。
ホラー映画ばりの悪夢を頻繁に見ていた時期もある。その頃は夜眠るのが怖かった。
わたしが見ていた悪夢については『それはわたし編』の『ホラーな夢を見ること』や『逃げたり焦ったりする夢を見た』や『怖い夢とぬいぐるみ』あるいは『アンデッドがやってくる』をお読みいただけたらおわかりになるのではないかと思う。よかったら、というかぜひどうぞ。宣伝でした。
さてそういうわけで夢見が大変よろしくないわたしだが、なにかを抱いていると体勢が安定するのか、柔らかいものが頬にあたって安心するのか、悪夢率が下がるのに気がついた。
実家に住んでいたころは大きな馬のぬいぐるみを抱いていた。
今の部屋に引っ越しをするときに一緒に連れてくることを真剣に考えたのだが、たいがいいい年をした女がぬいぐるみを抱いて寝るのはどうなんだという、別に誰が見ているわけでもないのだが、そういうことを考えてしまい、置いてきてしまった。
抱き枕とマットレスに力を入れる
その代わりにわたしが使うようになったのが抱き枕だ。1メートル以上ある長い抱き枕を使っているが、これがけっこういい。
一度かかってしまってから慢性的な、しかし波のある不眠になってしまい、寝具にはそれなりに気を遣うようにもなった。
マットレスにも枕にも気合いを入れている。
おかげで、ということなのか、悪夢率は下がってきた。
下がってきたとはいうものの、ゼロではない。
マットレスの寝心地はいい。かなりいい。もう以前には戻れないと思うくらいいい。
なのに寝心地と夢見の悪さは関係ないのだろうか。
ああなぜ人は悪夢を見るのだろうか。
なぜわたしがこんなことをつらつらと書いているのかというと、昨夜見た夢がここしばらくはなかったくらいのホラーっぷりだったからだ。
どんな夢か気になりますか、そうですか、気になりますか、なりますよね。
ではお聞きください。
ほら、ホラーな夢
久々に見たよ、こんなの
場面としては短かった。ホラー映画のワンシーンのような感じだ。
わたしはパイプベッドで横になっていた。
普段使っている寝心地のいいマットレスではなく、狭くて固いベッドだ。
仰向きに寝ていたわたしは妙なことに気づく。体が動かない。まるでなにかに拘束されているように。
まるでじゃない、わたしの両手両足は拘束されている。
体が動かない、とわたしは思う。あたりは妙に暗くて、だんだんと不安になってくる。
ふとベッドの足元に誰かが立っていることに気づく。
若い女性に見える。女性というより、まだ少女のようにも見える。
少女は、奇妙な格好をしていた。まるでレトロなメイド服のような。あるいはゴシック調のエプロンドレスのような格好だ。
少女だと思うのだが、顔はよく見えない。
拘束を解いてほしい、とわたしは少女にいう。いや、いおうとしたが声が出なかった。
少女がゆっくりと両手を振りかぶる。その手には大きな鉈のようなものが握られている。
少女が頭上に振り上げた鉈を、わたしは呆然としながら見つめる。
少女の表情は相変わらず見えなかったが、少女は振りかぶった鉈を、無言で振り下ろした。
鉈は、拘束されたわたしの両足を足首のところから切断した。
わたしは懸命に頭を起こす。拘束された体では、頭を起こすのが精一杯だった。
切り離された足首の断面が目に入った。その断面はとても赤い。
赤い断面の中央に丸くて白いものが見える。あれは骨だろうか。
というところで、目が覚めたわけだ。
これが昨夜見た夢の内容だ。ちなみに目が覚めたときはわたしは抱き枕にしがみついていた。
目が覚めたばかりとは思えないくらい呼吸が荒かった。
わたしの見る夢はけっこうリアルで、触覚や味覚がある。痛覚がなくてよかったと心の底から思う。もし痛覚まであったら夢の中で気絶している。
部屋の中は暗かった。時間を確かめたが、まだ夜明け前だった。
マットレスの寝心地はとてもいい。
寝心地と悪夢って相関性はないのかな。