
ゾエという名の友人
ゾエという名の友人がいる。
わたしとはタイプが違う女性だが、なぜかウマが合う。
気がつけばツルんでいる。
以前、コメディータッチのライトノベルを書いたことがある。
ヒロインを、ゆりという名前の男前な性格のバリキャリにした。
さてゆりはどんな顔をしているかと考えていたのだが、ぴったりなのが身近にいたのでモデルに(無断で)させてもらった。
ありがたいことにこの話は本になった。
(そんな奇特な人がいるとは思わないが、筆名が違うので探せないです)
が、当然の帰結としてゾエにばれた。
「ヒロインのモデルはわたしだろう」
「いやそんなことはない(あるけど)」
「嘘つけ、どう読んでもわたしじゃないか」
「いやいや、たとえゆりがショートの茶髪で背が高くてスレンダーで胸がさびしくても違うから」
「胸がさびしいだけよけいだ」
この場を借りて白状します。モデルにしました。
ゾエの武勇伝

男前だね!
男前のゾエは酒の席でも男前だ。
営業ウーマンで、接待も仕事のうちと豪語するゾエだけに、場を盛り上げ、酒を頼み、酒をつぎ、自分も飲む。
そして記憶を飛ばす。
・気がついたら体にアザができていた
・気がついたら自分の部屋で寝ていた。そして化粧は落としていた
・知らない間に知人(友人or取引先or後輩)に電話していた。発信履歴が残っているがなにを話したか覚えていない。後日電話した相手から『先日の電話の件、OKです。日程は改めて』とメールが届くがなにを約束したか覚えていない
ゾエの武勇伝の一部だが、こいつの行く末がときどき心配になる。
そんなゾエの同僚たちの間では『ゾエる』という言葉が存在する。
ゾエる。
〈意味〉酔って記憶を飛ばす
《活用例》「まいったよ、昨日接待で飲まされてさあ。最後ゾエってんだよ」
うわばみの上司はやっぱりうわばみ

……似た者同士
ある日、ゾエが「上司に説教された」とぼやいてきた。
「キミの上司というと、たしかメイジとかフジヤとか」
「モリナガ(仮名)だ」
話を聞くと、メーカー相手の接待があったらしいが、次の日上司に呼び出されたらしい。
モリナガ部長(仮名)に、昨夜のことを覚えているかと問われたそうだ。
ゾエはさっぱり覚えていなかった。
「えーと……」
「覚えていないんだろう」
「ソウデス」
「今年俺にあてた年賀状になんて書いたか覚えているか」
「なんて書きましたっけ」
「今年は車と記憶は飛ばしません、だ。いまは1月だな」
「そういえばそうでした、あはは」
ゾエの笑顔にモリナガ部長(仮名)はごまかされてくれなかった。
その後は説教タイムになったらしく、えらい目にあった、とゾエは言うが、親心と思ってありがたく受け止めるがよろしい。
だがしかし、ゾエの同僚たちの間には『モリナガる』という言葉も存在する。
《活用例》「昨日気がついたら終点だったんだよ」
「おまえまたモリナガったのかよ。何度目だよ」
〈意味〉酔って電車で眠りこんだあげくに駅を乗り過ごす
蛙の上司はやっぱり蛙。
蛙というより大蛇。
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