「ノウイットオール」森バジル

本を読む白猫

また面白い本を見つけてしまった

「探偵小石は恋しない」でもおなじみの森バジルさん。こちらの本もものすごく面白いし、有名ですが、今回はデビュー作らしい「ノウイットオール」を。

いやこれデビュー作なんですか、なんですか、面白すぎじゃないですか。
第30回の松本清張賞の受賞作でもあるらしい。なるほどですわ。
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作りは連作短編集。一つの街を舞台にして、いろいろな出来事が起こる。
一つの物語に出てくる登場人物が、次の物語の主役になったりする。

前の物語のメインキャラが、次の物語にひょこっと出てくる。
前の物語のあのキャラと、次の物語のこのキャラと、さらに別の物語のそのキャラに意外な関係(繋がり)がある。
という、連作短編ではわりあいおなじみの構成なのでしょうが。

ええ、この物語のこの場面のこれって、あの物語のあのシーンだよね、あのシーンの裏側で、こんなことになっていたのか、とか。
このキャラのこのセリフがあって、あの物語のあのキャラのセリフがあるのか、とか。

全部の物語にいろいろな仕掛けというか、からくりがちりばめられている。
読んでいる途中で何度も本をめくって見返してしまう。(これ、「探偵小石~」でもやったな)

ジャンルが広すぎて宝石箱や

それはそうとして、この話は一つの街を舞台にして描かれている。
時間軸もほぼ同じ。だから別の物語のキャラ同士が触れあったりすれ違ったりする。

なのに。
なぜこんなに物語のジャンルが異なるのだろう?

ミステリ、高校生の青春物、恋愛物。ここまではわかるとしても。
SFとファンタジーまで入りますか、そうですか。

名探偵が出てくるミステリを読んでいたはずが、次の物語では漫才に青春をかける高校生の話になり、ちょっと泣きそうになっているところに次の物語ではSFになって未来人が出てくる。未来人からは現代人は歴史人って呼ばれるのか、へー。

えーと、同じ街の話なんだよね、と惑わされていると、次の物語では魔法使いが出てくる。
いやジャンル、広がりすぎ。なんやこれ、小説の宝石箱やー。

素敵に繋がっている

そして全部の話が素敵に繋がっている。
どんな頭をしていたらこんな話が書けるのだろう。そしてどんなジャンルのどんな話を読んでいても思うことだが、作家の知識量すごすぎでしょう。
なにを食べたらこんな頭になるんですか、ちょっとわたしにも教えてください。スーパーに買いに行ってくるから。

個人的には恋に悩む30歳(くらい)の女性の話が突き刺さった。
女性の悩みというか、病というか、症状が人ごととは思えない。

女性と同じではないにしても、ご近所さんくらいのところでわたしも苦労している。
ああ、わかるよう、大変だよねえ、と感情移入してしまったよ。
彼女の恋愛はいったいどうなってしまうのか。最後まではらはらしたよ。
結末は読んでのお楽しみ。

とても楽しめました! 登場人物、みんな、幸せになってくれ!
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